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雪室設置完了



 すっかりと雪が融けてきたこの頃。春らしい温かな日光に照らされながら、冬らしい白雪の塊を転がす姿が一つ。沼田町に住む人間ならば、大体の者が見覚えのある光景であるが、それをやっている場所はいつもの町営の施設ではない。


 そう、我が社に独自の雪室施設がやってきたのだ。

 大きなコンテナに雪を貯め、その冷気で夏場の暑い環境でも良品質の作物を維持する事を目的にしたこの施設は、町の施設として巨大なものがあるのだが、個人として保有している者は非常に少ない。何しろ作物の置き場所に、雪を入れる大きめな建物、それを繋ぐそこそこな工事と必要な要素が複数ある。それを個人として用意するのは大変だ。何か明確な目的無しには作るに値しないというのは分かるだろう。


 というからには我が社にはその目的というのが、出来てきたわけである。それは主に有機作物の貯蔵となる予定である。農産物の中でも特に手のかかるものを、夏場でも高品質を維持して提供できるというのはなかなかに強みになる。作り始めてやっと三年が経とうとしている有機作物を、万全の状態で迎えようとするにはこういった努力も必要だろう。

 

 といった訳で、コンテナに雪を入れ終わったので、今度は温度管理の試験へと移行することとなった。まだまだ外の気温が上がらずに庫内の温度が10℃以上になることはないだろうが、4月の中を過ぎた頃には稼働を始める日が来ることだろう。さてはていったいどれくらいの期間まで雪が保たれるのか、指折り数えながら待つことにしよう。


                                           また次回





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