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雪解けが遅れ気味(主題:田んぼが乾かないと何故困るか)





 今年は暖かい日が少なく、三月中に纏まった雪が降ってしまったことで例年よりも多くの雪が未だに残っている状況になっています。それは温床ハウス建設の進みが遅れてしまうこともあるんですが、田んぼの雪解けが遅れて田起こしの条件が悪くなってしまう事が一番大きな問題となってしまいます。


 田起こしというのは次に続く代掻きの為に田んぼの土を砕くという目的もあるのですが、表面の土をかき混ぜることで空気と触れ合わせて乾かせるという目的も含まれています。

 どうせ水を流してしまうのに何故土を乾かせることが目的になるのかという疑問があるかもしれませんが、これには乾土効果という現象が起こることを狙う面もあるのです。

 乾土効果について軽く説明すると、土の中の微生物は成分が含まれた状態よりも乾いて空気が含まれた状態の方が動きが活発になる傾向にあるようです。そして微生物が活発になると土の中の窒素成分が、有機態から無機態に変換されます。窒素は植物の栄養になる成分なのですが、これは有機態よりも無機態の方が植物にとって吸収しやすい形になるのです。

 その為、田んぼの土を乾かした方が無機態の窒素が多くなり、植物が効率よく窒素を吸収出来る環境になるという訳です。だから田起こし行った後に代掻きまで時間的な余裕があれば、もう一度表面の土をかき混ぜてその下にあるまだ乾いていない土を表面に出すという二度起こしという作業を行うこともあります。

 これは乾土効果をより多く起こす為の作業であり、更なる窒素吸収を促し田んぼに散布する肥料の量を減らすなどのコスト減を狙うやり方をする農家もいます。


 しかし、二度起こしまで行えるのは我が社としては稀で、それは作業面積の多さから田起こしを二度行う時間がないというのもありますし、田起こしから代掻きまでに纏まった雨が降ってしまえば田んぼが乾く機会が無くなってしまうので、そもそも二度起こしを行う意味がない状況になってしまう事が多いのです。

 こういう面ではやはり農家は天気仕事と言われる理由が分かりますね。


                                             また次回




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