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回る円盤

 ギュインギュインギュイイーーン

 けたたましい音を撒き散らしながら金属の円盤が高速回転する。北海道には似つかわしくない燃えるような酷暑の中、萌える緑を切り払うのは汗水流した人ひとり。

 どうにもままならないものだ。こんなにも人類は発展しているというのに、草を排除するのにここまでの苦労を強いられてしまうなんて敗北感すら感じられる。


 しかし、この作業をしておかなければ水の管理は面倒くさくなるし、草を伝って田んぼの中に虫は入るしで良い事が無いのだ。

 だがこの暑さの中で大きく体を動かすのは流石に堪える。おまけに中途半端に降る雨のせいで異常に蒸し暑いときた。なんだろう、地球は人間の耐えられる限界を計ろうとしているのだろうか。様々な方面で負荷をかけていくその徹底ぶりには最早賞賛すら浴びせたくなる。


 ハウス片づけが終わり、草刈りが始まり、基幹防除やトマトの作業も控えている中、仕事以外の行事も盛りだくさんなのが7月8月という時期である。いや、行事があるというのは相対的に見れば仕事に余裕があるという事の表れなのだが、それを埋めるように予定が入り込んでしまっては結局は同じことである。

 日が沈むとともに仕事の終わりを迎え、8月にある祭りの準備を7時から始めるという毎日は、確かに春作業の頃と比べるとマシではあるのだが、そこで消費していたものとはまた別なものが消費されているような感覚を覚える。

 一人の作業と大勢の作業というのは全く違うものだ。だからこそ得られるものも違うともいえるが、それはまぁそれとして辛いことには変わりない。


 ああそんなことを考えているうちに、草刈り機の燃料がもう尽きそうだ。低速回転する金属の円盤。この暑さで私の目も回る前に、少し飲み物でも口にしよう。


                                            また次回

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