麦畑で捕まえて
一回目の稲の防除が終り、絶賛麦を刈りだしている最中で御座います。気温が低く雨が多い日が続いた六月でしたが、七月は皆さんもご存知の通り、赤道直下の国々も目を見張るような暑い日が続いている毎日になっていますね。一週間で用意していたペットボトル72本が無くなってしまうという買い出し係も涙目になってしまうような勢いで水分を求めてしまう日々に我々も辟易している所です。
しかし、こんなにも暑い日が続いていても六月の低温を巻き返すには足りないようで、品種によっては稲の生育は去年よりも遅れ気味な印象となっています。特に目立つのはななつぼしですね。その他はそうでも無いのですが、平年よりも少なくなっているのが現状です。
ですが農家というのはお天気仕事、こちらで出来る対策というのは限られています。文字通り運を天に任せるというのは聞こえが悪いかもしれませんが、寧ろ後はそれくらいしか出来ないくらいやれることはやったのだと前向きな解釈で物事を見つめるポジティブさを持っていたいと思います。
とは言っても私はそこまでポジティブな人間では無いのですが、逆にネガティブな人間なのかと言われても首を横に振るしかありません。まぁ、極端に二分化するというのも詰まらないですし、その日その日で精神状態なんて変わるものですから、「ああ、今日はこんな日なんだなぁ~」みたいな風に自分の状態を客観視するのも面白いですよ。
嬉しいことがあれば前向きになるし、悲しいことがあれば後ろ向きになる。人生なんてものは常に反復横跳びしているようなものですから、息も切れやすいし、ちょっとのことで脚がもつれることもあるでしょう。それでも人はその足を止めることは出来ないのです。環境の変化を止めることなんて誰にも出来やしないのですから。
右に跳んでいる内に左では目まぐるしい変化が起き続ける。左に跳べば今度は右が。変化について行けなくなったら、中央の線で左右を見渡せば自然と頭が冷静になります。
さぁ、次はどっちに跳びだそう? 右か左かポジティブネガティブ。
行き先を決めたら今度はどこまで踏み込むかを決める番だ。どっしり真ん中か線のギリギリか。時にはズルをして飛び越さないという選択肢もあるかもしれない。やり方なんて人それぞれですからね。どうせ回数を数えるのも自分自身ですから、君が1と数えればそれは1になるのです。
さて、ここまで意味があるようで全く無いような言葉を口走り続けましたが、意味の無い事こそ最も意味のあることだと私は常日頃から考えています。世の中に理由の無い現象は無いのです。自分の意味が他人の無意味で、自分の無意味が他人の意味。世の中で起こることは大抵これに当て嵌まってしまうので、どんなことが起こっても、頭から否定するような寂しいことをするのは止めてあげて下さい。自分の無意味が意味に変わった時、世界が広がる音が聞こえることでしょう。
ライ麦畑のキャッチャーがいるなら、君はバッターだし、あなたはピッチャーだ。そうこうしている間に内野も外野も出てくるぞ。
「フッ……、反復横跳びで鍛えた私の走力をお見せする場面のようだ」とランナーも登場
広い広いライ麦畑の真ん中で、プレイボールのコールが鳴り響いた……
なんだこれ……
また次回