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水稲の種まき作業完了


 本日やっとこさ全てのハウスに水稲用のポットを設置することが出来ました。いやはや分担してやっているとはいえ、一人につき500~800メートルの距離に一列16枚、60センチのポットを敷き詰めていくというのはなかなか途方もない作業でした。毎年のことなんですが、腕と脚に蓄積するダメージは相当なものです。それから解放されるだけでも嬉しい限り、自分の忍耐に感服し、その間音楽を流し続けたスマホに感謝の辞を述べたいと思います。

 さてこれからトラクター等の機械の調整をして、やっと田んぼに手をつけようかという段階に来たわけですが、近年稀に見る積雪量が未だにその尾を引いており、山の近くにある田んぼはまだその顔を見せていない場所もあるという始末。何事もしつこい奴は嫌われると言いますが、このしつこさには思わず苦笑いを浮かべてしまいます。ですが自然相手に怒りをあらわにしても仕方の無いことですし、私はありのままのあいつを愛しているので地面を殴りつけるなんて酷いことはしませんよ。自然だけに自然体が一番って訳です。

ビバ自然! 地球ラブ! 環境問題何するものぞ!

 農家という仕事をしている以上、自然との付き合いは切り離すことが出来ません。天気などは一日に何度も確認して状況を判断するのは誰しもがやっていることでしょう。自然の見せる結果に一喜一憂する回数の多さは、農家に並ぶものなんて恐らく気象予報士くらいでしょうか。(おっと居ないなんて大それた事は言いませんよ

 その辺に関してドライな私でさえも、自然を気にすることは結構ありますからね。

「いや、俺あいつのことなんて興味ないし」なんて言っておきながらもチラチラと視線を向けてしまうツンデレ具合です。これには自然も苦笑いを浮かべることでしょう。

 おっとお互いに苦笑いを浮かべるなんて、なんだか特別な間柄みたいじゃないですか。これは気が置けないのか隅に置けないのか。しかしこれから田植えをして、出来るお米を子供とすると、私と自然は夫婦関係と言っても過言ではないのかもしれません。

 そうさ二人は恋女房。俺が投げればお前は受ける。変化球しか投げられないひねくれ者の私ですが、どうかこれからもお願いします。

 …………ん? お米が子供ならそれを売っている私は大悪党ということになるのでは? 

「なんて父親だ! 自然さん! そんな奴よりも私と一緒に行きましょう!」 

 颯爽と現れた気象予報士の男が、優しく自然に手を差し伸べる。

 彼女の目に浮かぶ涙は、安堵か悲しみかはたまた別の何かなのか。

 三人の運命の歯車は、今ゆっくりと回り始めるのだった…………

                                   次回に続かない

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