トマト・トゥメイト・トマティーナ
加工用トマトも植え終わった後の数日間、高温と日照りが続いてすっかりへこたれてしまった苗に水をやるという普段はやらない作業をする事となった年になりました。いやはやこの時期は天気が不安定というのは勿論承知してはいるのですが、ここまで乾いた年というのも珍しい。
今は最低気温が一桁に落ちるほどに寒くなっているので本当に環境の不安定さを実感する年で御座います。しかしまぁ、一度根っこが地面に巡れば、植物というのは丈夫なもので、辛い環境であってもなんとか生き延びていくものであります。状況に応じて手厚く看護するというのも愛情ではありますが、敢えて辛い環境に身を置かせるというのも一つの育て方なのだと思います。可愛い子には旅をさせよと昔の人は言うものです。
まぁ放置が過ぎて黄泉国へと旅立たれても困りますので、このように水を与えたという次第なのです。飴と鞭は効果的に、教育と虐待は別のものですから皆様もお気をつけ下さい。
これから10前後の防除と、数ヶ月間の収穫時期という長い付き合いになるこのトマト君ですが、防除の回数から分かるように彼らはどうにも病気に弱い。サナトリウム文学に出てくるような病弱っ子なのです。
複数の病気に蝕まれ、大量の薬を投与されながらも懸命に果実を実らせるその姿に、収穫作業中の私は涙と鼻水が止まらない。(アレルギー)
しかしこのトマト、侮れないことに世界で一番の生産量を誇る野菜であるという話もあります。ケチャップやジュースなど加工品がメジャーなものばかりということもあって、大量生産されやすいのでしょうね。スペインでは「トマティーナ」という街中がトマト塗れになる投げ合い祭りがあるくらいなのですから、もうどれだけトマトが世界で必要とされているのかお分かり頂けると思います。
街一つがトマトに覆い尽くされる世の中なのですから、いつの日か世界中がトマトに覆われる日も来るのかもしれません。病弱なイメージはフェイクで、裏から世界の支配を狙う恐るべき生命体という可能性すら孕んでいます。
私の考察によると、病気=ウイルス そしてトマティーナによる真っ赤な街という異常な光景。何かを連想しませんか?
連想しなくても答えを言うと、ゾンビによるバイオなハザードが浮かび上がってくるではありませんか!
そう、トマトは私達をウイルスによって支配しようと常に目を光らせているのです。彼らと相まみえる時、決して油断をしてはいけません。ウイルスに感染し、精神をトマト一色に塗り潰されてしまう危険性があります。
もし、最近トマトを口にしたという人が居れば、気をつけて下さい。彼らは内部から貴方たちの脳を洗脳しようと訴えかけて来ているかもしれません。
ほら眠っているときに耳を澄ませると、頭の中から彼らの囁きが……
トマート トマトマ マトマトマ
ケチャプ ケチャトマ トマケチャプー
次回に続く……